こんにちは!森乃山です。
みなさんは林業と聞くと一番イメージするのはやはり木の伐倒ではないでしょうか?
林業では、除伐、間伐、主伐など保育のために木を間引きをすることや、収穫して商品にするためにすべて伐採することを目的に伐倒作業を行います。
しかし、林業で最も事故の多いのが伐倒作業中に起きるもので、誤った伐倒の仕方をすると最悪の場合、死に至る事故を招いてしまうことにもなりかねます。そこで今回は、正しい伐倒の手順と事故を起こさないために注意すべきことを理解していきましょう。
目次
1.伐倒の正しい手順
2.事故を招くやってはいけないこと
3.まとめ
1.伐倒の正しい手順
引用元:生活110番
さっそく伐倒の手順について上の画像と合わせてみていきましょう見ていきましょう。
まずはじめにやらなければいけないことは、周りの状況を確認することです。場所によっては、伐倒する木の上に枝が引っかかってそれが落ちてくる場合、ツルが巻き付いて引っ掛かりそうな場合、また周りに人や建物といったものがないか確認します。
確認が終わり、伐倒方向も確定したら足場の確保をします。その際、邪魔な草木などは処理しておき、伐倒後の退避場所もかくほします。
そしていよいよ伐倒伐倒方向と同じ方向で「受け口」を作ります。この受け口は倒す方向を安定させるうえで最も重要なことになります。受け口の大きさは幹の直径に対して、1/3ほどの大きさになるようにしましょう。人によって手順は違いますが、私のおススメは、先に受け口の下の部分を作ってから次に上から30°~45°の角度で角度を合わせます。
受け口は、しっかりと伐倒方向に対して直角の方向を向いており、下の部分と上の部分がしっかりとかみ合っている必要があります。そのため一回で、完全な受け口を作ることはかなり困難で、ほとんどの場合少しづつ調整しながら受け口を作ることになります。そのため、最初に幹の直径の1/3ほどになるようにと言いましたが、はじめはそれよりも少し小さめに作り、調整して1/3ほどになるようにしましょう。
次に、受け口の反対側から「追い口」を作っていきます。この追い口は、受け口との間隔を1/10ほどあけるぐらいの深さまで入れます。そうすることで幹の中心部で「つる」という伐倒の際、踏ん張りを効かせる役目のものを作ります。このつるがあることにより、木の倒れるスピードをゆっくりにすることができるので、伐倒後の退避までの時間にゆとりができ、より安全に作業を行えます。
木を倒す際は、チェーンソーだけで行うのではなく、クサビを追い口に打ち込んで行います。クサビを打ち込むことにより、木の重心を伐倒方向側に起こしていき、それによって木を倒していきます。
木が完全に自分の力で倒れ始めたら、確保しておいた退避場所に避難してこれで伐倒作業の終了となります。
参考までに動画も載せておくので、ご確認ください。
2.事故を招くやってはいけないこと
除伐や間伐などは、木が混み合っているのを間引く作業となるので、どの方向に倒しても木が混んでいて、倒した木が他の木に引っ掛かる「かかり木」になることがどうしてもあります。実は伐倒作業で最も事故になるケースで、最も多いのはかかり木の処理をしている際になります。
そこで、かかり木の正しい処理の方法とやってはいけない方法をしっかりと理解し、安全に作業を行えるようにしましょう。
正しい方法
①フェリングレバーを使用する
小径木のかかり木は、棒、木回し、フェリングレバーなどを使って、樹幹を回したり、元口を回したりして、外します。
②チルホールを使用する
中大径木のかかり木は、チルホールといったけん引具などを使用し、安全で確実な方法を選択して処理を行います。
上の画像のように、ワイヤーを固定させる際は、支点を中心に90°以上の角度を確保して行います。
③重機を使用する
また近くに重機がいる場合は、上の画像のように重機でけん引するのが最も手っ取り早く、安全な方法になります。
誤った方法
①かかられている木を伐倒する
この方法だとかかり木がいつ落ちてくるかわからず、かかり木の下敷きになる恐れのある大変危険な作業です。
②浴びせ倒し
相撲の決まり手にもなっていますが、林業では危険行為になります。伐倒木が予期しない方向に跳ねたり、二重のかかり木になるなど大変危険です。
③元玉切り
かかり木の元玉を造材も兼ね切り離す方法です。切り離したとき、かかり木が落下したり、滑落したりして危険です。
④枝切り
かかられている木に登り、枝を切って外す方法です。かかり木が外れるときに作業者が転落することがあり危険です。
⑤肩で担う
中大系木はもちろんですが、小径木でも重量はかなりあるため、かかり木を肩で担うと、木の重量が作業者にかかり、外れた木が滑落して転倒したりします。
⑥かかり木の放置
放置したかかり木の下で作業している作業者の上に落下する危険があります。また、かかり木から離れるときは、他の作業者が近づかないように表示をしておきます。
以上の行為は、絶対に行わないようにしてより安全な作業を行いましょう。
3.まとめ
伐倒は、車の運転と同じように練習すればかなり上達します。しかし慣れていたころに事故を起こしやすいのは伐倒でもよくあることで、少しの過信が思わぬ結果を招くことになります。そうならないためにも、しっかりと安全な作業で行い自分の身をしっかりと守っていきましょう。